従業員満足度(ES)プロセスをわかりやすく解説⑤

従業員満足につながる組織文化・価値観

組織には必ず「組織文化や価値観」といったものが必ず存在します。それは特に公式的なものがなくても、非公式なカタチでいつの間にか醸成されるものです。「暗黙のルール」を考えるとわかりやすいかもしれません。

したがって、どのような会社にもそれぞれの「組織文化や価値観」が存在します。
それが好ましいものであれば問題はありません。しかし、好ましくないものであれば何か手を打たなくてはいけません。

「好ましくない組織文化や価値観」というのは、例えば「チャレンジしない消極的な文化」「建設的でない発言や行動が正しいとされる文化」「常にモチベーションが低いことが当然の文化」「会社の戦略とマッチしていない価値観」など、色々考えられるはずです。

文化や価値観を変える

会社にとって好ましくない「文化や価値観」を発見したら、当然それを変えるためのアプローチをしていくわけですが、一度浸透した組織文化や価値観を変えるのは容易ではありません。
たばこやお酒を止めるのが大変なように、文化や価値観を変えるのも簡単ではありません。

組織改変や人事異動など、構造的に手を加えることで変えられる問題であれば簡単なのですが、一人ひとりの心の中に浸透した価値観を変えるのは特に大変です。

例えば「チャレンジしない消極的な文化」が形成さえてしまっているところに、「失敗しても積極的にチャレンジする文化」を持たせたいと思った場合、それを評価する人事評価制度を設けたり、上層部自らがその姿勢を示したり、「チャレンジコンテスト」などの社内イベントを開催してみたり、様々なアプローチを通じて少しずつ変えていくしかないかもしれません。

しかし、手間や時間がかかってもそれを実行する必要があります。
良い組織文化は従業員にとってやりがいにつながり、従業員満足は必ず増します。
もちろん、それが会社の成果にもつながっていくことは言うまでもありません。

従業員満足につながる給与・労働時間・労働環境

従業員満足の最後の項目として、「給与・労働時間・労働環境 」などを挙げたのには意味があります。

これまでの常識では、従業員を満足させるには「給与アップ」や「労働時間(残業など)の短縮」「おしゃれなオフィスビルへの移転など職場環境の向上」などが有効と考えられてきました。
もちろん、これらも有効な手段の一つであることに間違いはありません。

ただし、これらが従業員の満足度を決めるすべての要素ではありません。つまり、これらの要素だけ満たしても従業員満足には不十分ということです。
さらに言うなら、これらの外的要素は従業員の不満足の解消になるものの、満足の対象にはならないという考え方もあります。( ハーズバーグの動機づけ・衛生理論

不満足を生み出していないかチェックする

とはいえ、これらの要素が不足していると従業員が感じた場合には、会社に対して不満を抱く要因になるので、しっかりとケアしていく必要があるのは言うまでもありません。

給与に関しては、ここで簡単に論じられる内容ではありませんし、それぞれの会社の方針があるでしょうが、従業員の納得感を得られているかどうかがポイントになるでしょう。
自分の働きに見合う給与をもらえているか。もしそれに至らないのであれば、それはなぜか。

労働時間に関して見直すべきは、無意味な長時間労働になっていないかチェックしてみる必要があります。
「自分の仕事は終わっているのに帰りにくい雰囲気になっている。」「サービス残業が横行している。」「昼間ダラダラ仕事しているから残業が増えている。」などは実際に多くの会社で見られる現象です。
これらに対して、無駄な部分は排除するように仕向けていかなくてはいけません。
例えば、「ノー残業day」を設定する、勤務時間内の一定時間は私語など一切禁止で集中する「がんばるtime」を導入する、などです。

5Sは有効な環境整備

職場環境にかんしては、きれいに整理整頓されていて清潔に保たれていれば、従業員も気持ちよく働けるはずです。
これを実践するために5Sと呼ばれるものを実践することも有効です。

5Sは「整理・整頓・清潔・清掃・しつけ」の5つの頭文字をとったものです。
これを実践することでキレイな職場環境を作るだけでなく、モノや書類がなくなったり探したりする時間が少なくなり、業務効率が改善するなどの効果も見込めます。

従業員満足(ES)への取り組み
~ES診断

ES診断では、従業員のモラルやモチベーションなど「従業員満足度」の調査を、従業員に直接アンケートすることにより、自社の「従業員満足度」を数値化して改善に生かします。

ES診断は、社内で行う場合や外部の専門業者に依頼する場合がありますが、いずれにせよ、まずは自社の現時点でのESを客観的に把握することが目的です。

特に自社でアンケートを実施する場合は、その項目や方法など様々な要因を繰り返し検討する必要があります。
アンケート項目に先入観や意図を盛り込んではいけませんし、上司についてのアンケートをその本人である上司が回収するようなやり方では、本当の意見を吸い取ることはできないでしょう。

このアンケートは、従業員にとっても会社にとっても、重要な「従業員満足」の改善を行うための大事なステップであることを互いに認識した上で行うべきです。
会社側は客観的な事実を知ろうという心構えをもって、従業員が正直にアンケートに答えるように促さなくてはいけません。

そうして集めたアンケートを集計して、自社の問題点や改善点を洗い出し、具体的なES改善へ向けた取り組みを計画していきます。

ES診断はオープンでフェアなプロセスで進める

アンケートを回収し集計したら、できれば結果を従業員にオープンにして、それを踏まえて会社としてどう「ES改善」に具体的に取り組んでいくのかを明示していくようにすると、この手続き自体が「ES改善」に効果的な一歩になります。

手続きが全てオープンにされることで、従業員はその透明性とフェアなプロセスを実感でき、それが「従業員満足度」につながります。

上層部の勝手の思いつきや気まぐれで行うのではなく、しっかりと従業員の意見を聞き、その上で改善策を実施し、そのプロセスもオープンなわけですから、従業員も納得できアクションにもつながりやすくなります。

従業員満足度の要因

従業員満足度は単に給料が高ければ満足度が高いというわけではありません。
米国の心理学者であるハーズバーグ氏は、従業員満足度を左右する要因は大別して2種類あると提唱しています。1つは、苦痛を避ける衛生要因、もう1つが承認や達成などから来る高い満足感につながる動機づけ要因です。

例えば、職場が汚い、騒音がうるさいなどの状況であったり、給与が安く休みが少ないなどの悪条件であれば、従業員は苦痛を感じます。
こうした苦痛に対しては、その原因を取り除くことでも従業員満足度は向上しますが、これだけでは実は高い満足度にはつながりません。

従業員満足度をさらに高く伸ばすには、人から認められること、何かを達成する喜び、仕事を通じて成長しているという実感などを持てることが必要となってきます。
つまり、職場環境や給料、福利厚生などを充実させることで、従業員にとって特別不満に感じない環境を整えてあげることも重要ですが、それだけでは「特に不満がない」というだけで、「満足」にはつながりません。

「従業員満足度」を上げるには、それらに加えて「承認・達成・成長」などを従業員が自ら実感できるような仕組みを作っていく必要があります。具体的には、表彰制度や目標管理制度、評価制度の見直し、上司のマネジメント教育など様々な施策が考えられます。

 

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