ポリアンナ症候群
〜現実逃避的で行き過ぎたポジティブ思考にハマる人たち
『ポリアンナ症候群』とは、物事の良い面だけを見て負の側面から目をそらすことにより、現実逃避的な自己満足に陥る心的症状のことを言います。
「愛少女ポリアンナ物語」というアニメの主人公ポリアンナが非常に前向きな少女であったことに由来して名付けらものとされています。
さて、物事の良い面に注目するポジティブ思考は、もちろん悪いことではありません。
物事の悪い面にばかり注目してネガティブ思考に陥るより、はるかに建設的です。
ただし、ただ単にポジティブ思考になれば良いというわけではありません。
同じポジティブ思考にも、良いものと悪いものがあるのです。
その悪いポジティブ思考が「ポリアンナ症候群」です。
まずは、良いポジティブ思考と悪いポジティブ思考を整理しておきましょう。
目次
良いポジティブ思考
良いポジティブ思考とは、たとえ厳しい現実だとしてもそれをしっかり受け止め、その上で希望や明るさを見出していくことです。
つまり、それは未来志向で行動するためのものです。
苦しい現状を乗り越えていくために明るい未来を描いていくのです。
結果として、そこから生まれた前向きな行動は人生をより豊かにしてくれるでしょう。
悪いポジティブ思考
一方、悪いポジティブ思考は、ネガティブな部分と向き合うのを避けるために無理やりポジティブな面だけに注目することです。
一見、明るく前向きなように見えて、その深層心理では現実逃避して安全圏に逃げ込もうとしているのです。
都合の悪いことには蓋をして無かったことにしてしまうので、根本的な問題は解決されぬまま放置され、いずれ取り返しのつかないことになってしまうでしょう。
考え方の違い
もう少し具体的な例で考えてみましょう。
例えば、大きな借金を抱えてしまった場合、それぞれの考え方はきっと次のようになるでしょう。
ネガティブ思考の人:「もう人生終わった……」
良いポジティブ思考の人:「頑張って毎月返済していけば明るい未来が待っているはずだ」
悪いポジティブ思考の人:「そんなことより、生きているだけで幸せだよ」
現実逃避も、一時的な気持ちの避難先としては別に悪くありません。
しかし、いずれそこから出なくてはなりません。
ずっとそこにいても現実は何も変わらないからです。
未来志向は、まず現実と向き合うことから始まります。
ポジティブとネガティブの理想的な比率
ある心理学者は、長期的に良好な関係を築くカップルはポジティブな関わりとネガティブな関わりの比が5対1であったと言います。
ポジティブなことが、ネガティブなことより多いということはもちろん重要なことですが、ここではもうひとつ大事なポイントがあります。
それは、ネガティブな関わりも重要だということ。
もしネガティブな関わりがないのであれば、それは重要な問題に向き合わずに避けているということを意味します。
それだと長期的に良好な関係は築くことが難しいというわけです。
このことから、関係性においても「ポリアンナ症候群」は有害になりうることがわかります。
まとめ
『ポリアンナ症候群』とは、物事の良い面だけを見て負の側面から目をそらすことにより、現実逃避的な自己満足に陥る心的症状のことを言いました。
その問題点は、現実の問題が何一つ解決しないことです。
一見、ポジティブで前向きなように見えて、実は「ポリアンナ症候群」という人は結構多いようです。
たいてい、本人にその自覚はありません。
いつもポジティブに物事を考えるようにしているのに自分を取り巻く環境はいつも苦しいばかりだという人は、自分が「ポリアンナ症候群」に陥っていないか、一度考えてみると良いかもしれません。
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