イチローが語ったモチベーション
モチベーションアップの法則

イチローが語ったモチベーションを生む秘訣


大リーグ・マーリンズのイチロー外野手がメジャー史上30人目の3000安打を達成。試合後に行われた記者会見から自身のやる気やモチベーションについて語られた部分を抜粋しました。

――3000安打を達成した率直な気持ちから。

「あんなに達成した瞬間にチームメートたちが喜んでくれて、ファンの人たちが喜んでくれた。僕にとって3000という数字よりも僕が何かをすることで僕以外の人たちが喜んくれることが、今の僕にとって何より大事なことだということを再認識した瞬間でした

自分のしたことで人が喜んでくれたら、それはやっぱり嬉しいものですよね。

――イチローさんはよく感謝という言葉を使います。この3000本を打ったこの日に、感謝という言葉をどなたに伝えたいか? 

「それはありきたりになってしまいますよね。これだけ長い時間いろんな場所から集まってくれて、それはもう今さら言うまでもないですよね。でも、3000を打ってから思い出したことは、この(メージャーリーグ移籍の)きっかけを作ってくれた仰木監督ですね。仰木さんの決断がなければ何も始まらなかったことなので、そのことは頭に浮かびました」

感謝の気持ちを忘れないということも、イチロー選手がモチベーションを維持していく上では大切なポイイントなのでしょう。

――イチローさんほど野球を好きな選手はいないんじゃないかと感じる。どうしてそんなに野球を好きでいられるのか。 

「そんなこと僕に聞かれても困りますけどねぇ。どうでしょう……うまくいかないことが多いからじゃないですか。これはもし成功率が7割を超えなくてはいけない競技であったら、辛いと思いますね。3割で良しとされる技術なんで、まぁ打つことに関しては。これはもういくらでも自分の『志』と言ったらちょっと重いですけども、それさえあればその気持ちが失われることはないような気がしますけどね」

うまくいかないことに挑戦する気持ちがモチベーションにつながると言っているのでしょう。

―― 一般の人間には達成感が今後の目標に向けての邪魔になる。3000本の達成感をどうやって消化して次の目標に進んでいく?

「達成感って感じてしまうと前に進めないんですか。そこがそもそも僕には疑問ですけど、達成感とか満足感っていうのは僕は味わえば味わうほど前に進めると思っているので、小さなことでも満足感、満足することっていうのはすごく大事なことだと思うんですよね。だから、僕は今日のこの瞬間とても満足ですし、それは味わうとまた次へのやる気、モチベーションが生まれてくると僕はこれまでの経験上信じているので、これからもそうでありたいと思っています

「達成した〜!終わった〜!」ではなく、「やれてるね〜!いいね〜!」と自分自身を乗せていくイメージでしょうか。

――3000安打は通過点だと思うが……。 

「僕は通過点とは言ってないですよ。ゴールとも言ってないけど」 

3000本安打というのは、ファンやチームメイトなどが祝福していくれるので嬉しいけど、イチロー選手にとっては単なる数字に過ぎないようです。

――この次はどういったことをゴールに置いて進んでいくか? 

「どうかなあ? 次こういう状況が生まれるとしたら、4000(安打)しかないですからね。そこまではなかなかですから。まあでも200本を5年やればね。なっちゃいますからね。どうっすかねえ? 3000っていうとみんな、ホール・オブ・フェイム(野球殿堂)とつなげることが多いと思うんですけども、僕にとっては将来そんな、いつの日のことか分からないことよりも、まあ明日の試合に出たいっていうことが大事なことだということですね」

イチロー選手は、何か遠くの目標を設定してそれに向けて頑張るというより、目の前の目標をクリアしていくことに重きを置いているようです。トップダウン型というよりボトムアップ型。そうして一歩ずつ積み上げていくことが偉大な結果につながるということですね。

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イチローの言葉

イチロー選手のモチベーションをさらに探る上で、過去の発言にもさかのぼってみましょう。

喜びを見つける

「そりゃ、僕だって勉強や野球の練習は嫌いですよ。誰だってそうじゃないですか。つらいし、大抵はつまらないことの繰り返し。でも、僕は子供のころから、目標を持って努力するのが好きなんです。だってその努力が結果として出るのは嬉しいじゃないですか

「(打率ではなく)ヒットを一本増やしたいとポジティブに考えるんです。そう思っていれば打席に立つのが楽しみになりますよね」

「まず自分の好きなことを見つける。そうすれば、自分を磨けるし、先へ進める」

「世の中の常識を少しでも変えるっていうことは、人間としての生き甲斐でもありますから」

反骨心をバネにする

子供の頃から人に笑われてきたことを常に達成してきた自負はある。小学生の頃、毎日練習して近所の人から『あいつプロ野球選手にでもなるのか』と笑われた。悔しい思いもしたけどプロ野球選手になった。何年かやって日本で首位打者をとってアメリカに行く時も『首位打者になってみたい』と言って笑われた。でもそれも2回達成した。常に笑われてきた悔しい歴史が僕の中にはあるので、これからもそれをクリアしていきたいという思いはもちろんある」

自分の個性を活かす

「パワーは要らないと思います。それより大事なのは 自分の『形』を持っているかどうかです」

「大切なのは自分の持っているものを活かすこと。そう考えられるようになると可能性が広がっていく」

「あこがれを持ちすぎて、自分の可能性をつぶしてしまう人はたくさんいます。自分の持っている能力を活かすことができれば、可能性が広がると思います」

他人の評価に惑わされない

「自分のしたことに人が評価を下す、それは自由ですけれども、それによって自分が惑わされたくないのです」

「第三者の評価を意識した生き方はしたくない。自分が納得した生き方をしたい」

「成功とはとても曖昧なものです。他人が思う成功を追いかける必要はありません」

自分軸を持つ

「人に勝つという価値観では野球をやっていない」

「首位打者のタイトルは気にしない。順位なんて相手次第で左右されるものだから。自分にとって大切なのは自分。だから1本1本重ねていくヒットの本数を、自分は大切にしている」

「何かを長期間、成し遂げるためには考えや行動を一貫させる必要がある」

目標の持ち方

「ぼくが数字で満足することはあり得ません。なぜなら、数字が内容を反映しているとは限らないからです。目標を設定して、そこに到達すればそこで満足してしまって、先へ進む努力をしなくなるでしょう。毎打席、何かしら、学ぶべきこと改良すべきことがあります。満足は求めることの中にあるんです

「人の数字を目標にしているときというのは自分の限界より遙か手前を目指している可能性がありますけど、自分の数字を目指すというのは、常に限界への挑戦ですから」

「高い目標を成し遂げたいと思うなら、常に近い目標を持ちできればその次の目標も持っておくことです。それを省いて遠くに行こうとすれば、挫折感を味わうことになるでしょう。近くの目標を定めてこそギャップは少ないし、仮に届かなければ別のやり方でやろうと考えられる。高い所にいくには下から積み上げていかなければなりません

最高の高みに挑み続ける姿勢

「成績は出ているから今の自分でいいんだ、という評価を自分でしてしまっていたら、今の自分はない。」

「考える労力を惜しむと、 前に進むことを 止めてしまうことになります」

「最大の武器?それは、何かにトライしていこうとしている自分がいるということです」

「結果が出ないとき、どういう自分でいられるか。決してあきらめない姿勢が、何かを生み出すきっかけをつくる」

「自分の限界を見てから、バットを置きたい」

最後に

ここまでイチロー言葉から彼の卓越した成果やそれを可能にするモチベーションの秘訣を探ってきました。そこで見えてきたのは、プレイヤーとしての求道者のような姿です。 

きっと、イチローが本当に目指しているのは「プレイヤーとしての究極の極み」。
剣の道を極めようとした宮本武蔵などと一緒なんじゃないか、そう感じました。

もちろん、数字が評価されるプロの世界ですから、そこへのこだわりは持っているでしょうが、数字は単なる結果であって、それが全てだとは思っていない。他者と競い合って勝つことや数字や成績を残すことが評価されるプロスポーツの世界ではちょっと異質なことかもしれません。他の野球選手とは別次元で闘っているということです。

そして、今もその境地を目指して終わりなき挑戦を続けている。

また、それとは別に「誰かが決めた限界に挑戦し、それを超えること」へも挑戦している気がします。
これは、自分の限界を他人に勝手に決められたことへの反骨心。そして「自分の限界は誰にも決められたくない、自分で決めたい」、ただそんな想いなのかもしれません。

イチローの姿は野球選手というより武道の達人や芸術家のようにさえ映ります。
そして「プロフェッショナル」という意味で、我々に多くの示唆を与えてくれます。
この先、イチローがどんな境地にたどり着くのか、そしてどんな記録を達成するのか、ますます楽しみになってきました。

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