「ONE TEAM(ワンチーム)」は危険なスローガン……?

「ONE TEAM(ワンチーム)」とは、先のラグビーワールドカップ(W杯)でベスト8に進出した日本代表のチームスローガン。
「2019ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞にも選ばれました。
みんなで1つのチームにまとまって戦おう。全員で同じ目標に向かって1つになろう……そんな意味が込められています。
このスローガンの元に結集したラグビー日本代表は存分に力を発揮し、日本中に大きな感動と興奮を巻き起こしました。
しかしこの言葉、真のプロ意識や成熟した哲学の元で使われなければ、非常に危険な言葉です。 取扱注意のスローガンなのです。
なぜなら、「ONE TEAM(ワンチーム)」というスローガンのもとでなら、過剰労働や言論統制といったことが行いやすいからです。
戦時中のスローガンはワンチーム?
思い起こせば、戦時中の日本のスローガンは「挙国一致(一つの目的のために国全体が一体となること)」といったものでした。
ほぼ「ワンチーム」と同じ意味です。
ちなみに、戦時中には次のようなスローガンも叫ばれていました。
「欲しがりません勝つまでは」
「ぜいたくは敵」
「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」
「進め一億火の玉だ」
こうしたスローガンのもと、戦争に反対の姿勢を示す者は非国民扱いされ、戦局の悪化にも関わらず泥沼の戦いに突き進んで行ったのです。 それはまさに冷静さを欠いた暴走です。
熱意だけで押し切ろうとするスキル不足のマネージャー
そもそも日本人は「全員一丸となって突き進む」のが好きなのです。 きっと、日本人のDNAには社会や組織のためなら喜んで犠牲になろうとする精神がインプットされているのでしょう。 だから、「ワンチーム」といった言葉に対しては感情的に熱くなってしまうのです。そして思考停止に陥って突っ走ってしまうのです。
したがって、こういった類の言葉の取り扱いには細心の注意を払っておかなければなりません。
マネジメント能力の乏しいリーダーほど、こうした感情的な力技でチームをまとめようとしがちです。 スキル不足を気持ちでカバーしようというのです。
しかし、高いパフォーマンスを発揮するには、スキルと熱意の両方が必要です。 スキルを無視して熱意ばかりで押し切ろうとするのは日本人の悪い癖です。
ブラック企業やスパルタ式の部活では、こうしたスローガンが好んで叫ばれている傾向があります。そして、科学的でない根性論で組織が運営されています。
「ワンチーム」は素晴らしいスローガンですが、間違った人物によって運用されると不幸につながります。 こうした言葉を使うチームで働く際には、それを使う人物に、そしてその裏にある狙いや哲学に細心の注意を払いましょう。
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