「やりがい搾取」には気をつけよう

『やりがい搾取』とは、”やりがい”を強く前面に押し出すことによって、低賃金・長時間労働といった不利な条件での労働を引き出す構造のことをいいます。
雇用する側が、そこで働く人たちにとって”やりがい”を感じられるような仕組みを構築するのは決して悪いことではありません。 しかし、それを隠れ蓑に低賃金・長時間労働など不当な労働を引き出そうとする構造が潜んでいる場合には、この「やりがい搾取」という言葉に該当するでしょう。
最近、このように”やりがい”をエサにして働く人を酷使しようとする組織や団体が増えてきているので、注意しておく必要があります。
この仕組みを活用すれば、低賃金で熱心に働く労働力を確保できますから、これを悪用するケースが目立ってきているのです。
自己防衛しておかないと、気づかぬうちに労働力を搾取されていた(不当に安い賃金で働かされていた)、なんていうことにもなりかねません。
やりがい搾取が行われる組織の特徴
「やりがい搾取」が行われる組織では、「お金のために働くのは良くないこと。お客様の満足や自分の成長、夢や仲間のために働こう」という価値観の刷り込みが、研修や朝礼を通してしきりに行われます。
ある居酒屋チェーンでは、いたるところに社長が書いた「相田みつを風」の色紙が飾られ、そこには「夢は必ず叶う」「最高の出会いに心から感謝」などと書かれていたといいます。
そして、まるで新興宗教のような雰囲気とサークル的なノリの中で、いつの間にか冷静な判断力は奪われ、自分の「夢」や「成長」を語りながら、「みんなで成長しよう」「世の中に貢献しよう」と熱くなり、低賃金・長時間労働をいとわず仕事にのめり込んでいくのだといいます。
そこに、妙な「熱狂」や「一体感」があったり、「感動を一緒に味わおう」といった熱いメッセージが溢れているのが、こうした組織によくある特徴です。
低賃金から抜け出せない構造
こうした文化を醸成している企業は、得てして労働条件が悪いのが特徴です。
もちろん、厳しいノルマや困難を乗り越えることで充実感や達成感を味わえることも確かですし、自分の成長に繋がることも少なくないでしょう。
したがって、必ずしもこうしたことを否定するわけではありません。
ただし、こうした構造を悪用して労働力を引き出そうとする組織が増えてきていることは覚えておいたほうが良いでしょう。
特に、それがいくらでも代えの効くマニュアル仕事やサービス業の場合には、そこでいくら頑張って働いてもなかなかキャリアアップには繋がらず、いつまで経っても低賃金から抜け出せない、なんてことも良くあることです。
冷静な判断力を失ってのめり込んでいったものの、いつまで経っても仕事はキツく生活は苦しいまま。 上層部だけがおいしい思いをし、下層の人たちはひたすら搾取される構造は、どこかの新興宗教団体とも似ています。
最後に
「夢を持とう」「お客様の笑顔のために」「仲間と一緒にやり抜こう」といった言葉をしきりに使う職場には注意したほうが良いかもしれません。
その裏に「やりがい搾取」が潜んでいる可能性があります。
仕事にやりがいを持つことは良いことですが、それが不当な環境でただ利用されているだけなのかどうか、については冷静に判断する必要があります。
ちゃんと自己防衛していきましょう。
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