物語が人を変える
ナラティブ・セラピーとは?

ナラティブ・セラピーとは、人生を肯定的に生きていくために、その人の持つ人生脚本ともいうべき物語(ストーリー)を適切なものに書き換える心理セラピーです。

ナラティブ・セラピーでは、人はそれぞれ自分自身の物語を持っていて、それに基づいて生き方や対人関係を構築していると考えます。

ですから、その物語を書き換えれば、これまでと違った人生を生きていくことが可能というわけです。

例えば、それまでの経験から「自分は失敗者だ」という物語を持っている人は、きっと何をやるにも消極的で望むような成果を上げることが難しいでしょう。

こうした物語を持っている人は、最後のところでの踏ん張りも効かないものです。

しかし、その物語が「自分は何があっても諦めない人間だ」というものに書き換わったらどうなるでしょう?

きっと、積極的な行動が目立つようになり、いずれ何かしらのことを成し遂げるでしょう。

いずれにしても、自分の持つネガティブな物語をポジティブなものに書き換えることができれば、それは人生の様々な領域において肯定的に作用しそれまでより前向きに生きられるようになるはずです。

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外在化技法

ナラティヴセラピーにおける代表的な技法の1つに「外在化技法」というものがあります。

通常、私たちは身の回りで起きた何かしらの問題を自分の一部として取り込み、「ダメな自分の失敗物語」というものを構築してしまいがちです。

例えば、「試験に落ちた」→「それは私がバカだから」→「私は生まれながらバカな人間だから勉強はもちろん頭を使う仕事もできないに違いない」といった具合です。

発生した問題やトラブルを、自分の根本的な人間性や持って生まれた能力の欠陥からくるものだと考えてしまうのです。

「問題=ダメな自分」というのは、その問題を自分自身に内在化してしまっている状態だと言えます。

この内在化した問題を本人と切り離すのが外在化技法です。

ナラティブ・セラピーには「問題が問題である。人は問題ではない」という考え方があります。

それを元に、「問題点=自分」という構図から、「問題点」と「自分」を切り離します。

例えば先ほどの例だと、「試験に落ちたのは、単に私の努力不足だ」などという物語に書き換えます。

こうすることで、その問題の原因はその人の資質などではなく、単なる努力不足という認識に変わります。
そしてそれによって、自分次第でその問題は解決可能だという考え方に変化するというわけです。

問題は「私」でなく「努力不足」なわけですから。
そうなれば、きっと前向きな行動も起こしやすくなるでしょう。

まとめ

ナラティブ・セラピーとは、その人が持つネガティブな物語を発見して、それが本当かどうか考えていき、より適切で効果的な物語を持ってもらうアプローチです。

それにより、新たな信念や考え方が形成され、望ましい行動につながっていくという狙いがあります。

コーチングにおいてもこのようなアプローチはよく使われます。その人の持つ物語が書き変わるということは大きな変化に繋がるからです。

普段のコミュニケーションの中でも、「この人はどんな物語を持っているんだろう?」と考えてみると、その人の行動の背景が理解できるようになって役に立つことがあります。

人の行動の背景には、何かしらの物語があるということを覚えておきましょう。

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